今回は「5年前にユニットバスのリフォームをしたんだけど売却した場合、価値は加味されるのかな?」といった疑問にお応えするため、不動産売買の専門家である管理人がリフォームと不動産売却相場の関係について調べさせていただきました。
不動産の売却相場は「土地の価値」と「建物の価値」から構成され、リフォームは「建物価値」へ影響を与えます。
リフォームしていない建物の価値
リフォームをしていない建物の価値については「木造2階建ての価値」「軽量鉄骨造2階建ての価値」「木造平屋建物の価値」などで築年数と売却相場について掲載していますので参考にしていただけると幸いです。
一般的にリフォームやリノベーションをしていない不動産では築25年〜築35年で建物価値0円として市場で売買されています。しかし、ユニットバスなどの水回りをリフォームしている場合、リフォーム価値を加味して売買される事が一般的です。
ユニットバスのリフォーム費用
上記は以前、一戸建てのユニットバスを解体し新しいものを入れた時にかかった費用です。入れたユニットバスはINAX(現在のLIXIL)のBLH-1116SBWE2(1116サイズ)で、価格は全部込みで「209,000+12,000+7,000+20,000+15,000=263,000円」でした。
1116サイズだとしても30万以下の交換費用は相場より安いため、1116を入れ替えた場合の実際の市場価値は30万円程度です。
以下にユニットバスのサイズと概算の市場価値を掲載させていただきますが、交換直後は下記の市場価値を建物価格に加算して売買される傾向があります(あくまで私の経験に基づく市場価値です)。
ユニットバスの寸法と価値
サイズ | 内径寸法 | 市場価値 |
---|---|---|
1014サイズ | 100cm×140cm | 28万円程度 |
1116サイズ | 110cm×160cm | 30万円程度 |
1216サイズ | 120cm×160cm | 35万円程度 |
1616サイズ | 160cm×160cm | 50万円程度 |
1418サイズ | 140cm×180cm | 50万円程度 |
1620サイズ | 160cm×200cm | 60万円程度 |
一戸建ての場合。1216サイズや1616サイズがよく利用されます。1216が入りにくい場合は1116サイズを入れる事が多いです。また、マンションでは1418サイズや1620サイズがよく利用されますが、もっと小さなユニットバスを利用しているところも沢山あります。
ユニットバスなどの水回りリフォームは業者によって値段が大きく異なります。市場価値に掲載した金額は比較的安く施工してくれる優秀な業者に依頼した場合で、通常発生する費用はもう少し高いと思います。
私もこれまでに100件以上見積もりを取りましたが、リフォームは高い代金を支払ったから良い材料を使っているという事は殆ど無く、単純に下請けや孫請けに施工させているのでマージン分、工賃が高くなっているケースが大半です。
年数が経過したリフォームの建物価格への影響
リフォーム直後は「ユニットバスの寸法と価値」で掲載した金額でリフォームの価値を算出できますが、リフォーム後、数年経った場合の価値はどのようになるでしょう?
上記画像はいわゆる「東京ルール(原状回復ガイドライン)」と呼ばれている原状回復費用の借主負担割合を示したグラフです。
東京ルールではユニットバスの耐用年数は建物の耐用年数を適用するため、木造住宅の場合は「耐用年数=22年」で借主負担割合を算出します。
しかし、私が実際に売買した物件やコンサルした物件を分析した限りでは、便器や給排水設備と同様の15年程度で市場価値0円となる傾向があります。
ユニットバスリフォームの価値の計算
ユニットバスのリフォームが不動産の売買価格に与える影響について具体的に見ていきたいと思います。一戸建てで1616サイズのユニットバスを新品に入れ替えた場合の市場価値は上記のように推移します。
仮にリフォーム後、3年経過した時点で新品のユニットバスに入れ替えた家を売却しようと考えた場合、リフォームの価値は「リフォーム時点のユニットバスの価値÷耐用年数×(耐用年数-経過年数)」で計算する事ができ、実際に計算すると「50万円÷15×(15-3)=40万円」となります。
売却する家が築20年の軽量鉄骨造の場合
売却する家が新築時1000万円の築20年建売戸建ての場合「軽量鉄骨造の築年数と価値の関係」からリフォームしていない状態の建物の価値は「1000×10%=100万円」と計算する事ができます。リフォームの価値は40万円なので「建物価値は合計140万円」という事になります。
これに土地の価値を加算したものが、不動産の売却相場となり、仮に、下記の群馬県前橋市朝倉4丁目の赤丸の地域の100㎡の土地付き戸建ての場合、土地の価値は「47000÷0.8×100=587.5万円」となり、不動産の売却相場は「140+587.5=727.5万円前後」という事が判ります。
土地の価値の算出は「相続税路線価から算出する方法」が簡単に計算できるのでオススメです。また、具体的な計算方法については「築40年の空き家の売却相場の計算」「築15年の軽量鉄骨造一戸建ての価値の計算」「築35年の木造平屋一戸建ての売却相場の計算」で掲載しています。
リフォームした家の売却まとめ
- ユニットバスの市場価値はユニットバスの寸法と価値を参照
- ユニットバスは「耐用年数=15年」で計算し15年後の市場価値は0円
- 「リフォームの残存価値」=リフォーム直後の価値÷耐用年数×(耐用年数-経過年数)
いかがだったでしょうか?すべての不動産について今回計算した通りに行くわけではなく、前面道路の状況や市場環境、不動産会社の力量によって成約価格にブレは生じます。
しかし、今回紹介したような方法を利用し、不動産の売却相場を知ることで不動産会社に騙されたり、相場より大幅に安く売ってしまうリスクを下げることができます。今回の記事が一戸建て売却の参考になりましたら幸いです。