不動産の売買は「売却をしようとする人の意思」と「購入しようとする人の意思」が合致することによって初めて売買が成立します。しかし、全ての人が売買の当事者になれるわけではなく、認知症などで売却の判断能力がない人は売主になることはできません。今回は不動産売買の当事者になれる人について詳しく見ていきたいと思います。
民法上の各種能力概念
能力 | 説明 |
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意思能力 | 行為の結果を弁識するに足りるだけの精神能力 |
行為能力 | 単独で完全に契約のような法律行為をなし得る能力 |
不動産売買の当事者になれるのは意思能力・行為能力を持った人だけです。意思能力とは判断能力とも言い換えることができ、相手方に意思能力がない場合、いくら不動産売買契約書に署名押印しても、その不動産売買契約は「無効」となってしまいます。
意思能力が無い人とは意思能力とは事案によって異なりますがだいたい7歳〜10歳以上の子供が持つ精神能力とっされており、それ以下の年齢の場合、意思能力が認められず契約は無効となります。また、泥酔者についても意思能力が無いとされています。
行為能力については高齢者の空き家売却などで問題になることが多いです。制限行為能力者が行った行為は取り消すことができるため、不動産会社が仲介した不動産の売買では制限行為能力者は当事者になることができません。
行為能力が無い人行為能力とは法律上「単独で完全に契約のような法律行為をなし得る能力」と定義されており、行為能力がない人を制限行為能力者と言います。未成年者・成年被後見人・被保佐人・被補助人は制限行為能力者となっており、売買の当事者となることはできません。
制限行為能力者が不動産を売る方法
(画像引用元:http://smtrc.jp/)
成年被後見人などの制限行為能力者が空き家などの不動産を売るには法定代理人(親権者・成年後見人・補佐人・補助人)を立てる必要があります。
未成年者の法定代理人である親権者は特に手続きをしないでも法定代理人となることができますが、成年被後見人・被保佐人・被補助人については裁判上の手続き(後見開始の審判)などを経て法定代理人を選任する必要があります。
後見開始の審判とは後見開始の審判とは、精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害など)によって判断能力を欠く常況にある者(本人)を保護するための手続です。家庭裁判所は、本人のために成年後見人を選任し、成年後見人は本人の財産に関するすべての法律行為を本人に代わって行うことができます。また、成年後見人又は本人は本人が自ら行った法律行為に関しては日常生活に関するものを除いて取り消すことができます。
後見人による不動産売却の注意点
成年被後見人も、成年後見人が代理することで売買契約を締結することは可能ですが、売却する不動産が居住用の場合は、家庭裁判所の許可が必要であり、家庭裁判所の許可がなければいくら成年後見人が代理人として契約しても無効となります。
不動産売買の当事者まとめ
通常の不動産売却では制限行為能力者が問題になることはありませんが空き家などの売却だと当事者(不動産所有者)が高齢のため意思能力や行為能力が無いケースがあります。
このような不動産売却については一括査定サイトを上手に使い士業(弁護士・司法書士・行政書士など)が社内にいる不動産会社や提携士業が沢山いる不動産会社に依頼したほうがいいでしょう。今回の記事が不動産売却の参考になりましたら幸いです。