こんにちは空き家の売却相談ナビです。今回は相続し忘れることが多い位置指定道路について書いていきたいと思います。被相続人が所有していた不動産(家+土地)を相続し、売却する時に発覚することが多いのですが位置指定道路などで共有になっている私道は相続し忘れることが多いです。
このような相続し忘れた道路は再度、相続手続きをする必要があり、戸籍謄本などを紛失している場合、再取得する必要があります。
位置指定道路とは
位置指定道路とは私人が築造した私道(建築基準法42条1項5号の道路)で特定行政庁がその位置を指定したものです(上記図の112-8)。この道路は公図(14条地図)では上記のようになっていることが多く、専門家が関与した相続では必ず登記事項証明書を取得し権利関係を確認します。
登記事項証明書(登記簿謄本)を取ると下記のように共有になっているケースがほとんどで被相続人名義になっていることを確認できます(逆に共有になっておらず私人の単独所有の場合、後々問題となります)。
被相続人名義のまま残っていることが確認できたら続いては相続手続きです。なお、登記事項証明書や公図は法務局へ行けば誰でも取得できますので、自宅の前面道路が公衆用道路の場合、取得して内容を確認してみると良いでしょう!
相続登記手続き
相続手続きについては一般的な手続きと同様です。なお、なぜ共有になっている道路の所有権(持分)を被相続人から相続人へ移転しなければならないかというと移転しなければ接道義務を満たすことができず再建築出来ないからです。
そのような不動産は瑕疵物件になってしまいますし、常識的な不動産会社が仲介した場合、移転しない限り売ることは出来ません。
以前作成した遺産分割協議書が残っており「本協議書に記載なき遺産及び後日判明した遺産は相続人●●がこれを取得する」などと記載があれば再度作成する必要はありませんが、それ以外のケースでは再度、遺産分割協議書を作成する必要があります。
遺産分割協議書
被相続人●●
生年月日●●
死亡年月日●●
本籍●●
平成25年1月1日上記被相続人●●の死亡によって開始した相続の共同相続人●●、●●は本日、その相続財産について次のとおり遺産分割の協議を行った。
1.相続人●●は次の不動産を単独で取得する。
所在 東京都神奈川区
地番 111番1
地目 公衆用道路
地積 100㎡
●●持分 6分の1
(以下省略)
遺産分割協議書は登記のみなのでシンプルで構いません。遺産分割協議書以外の必要書類は下記のようになっています。なお、海外在住者が相続人の中にいる場合、サイン証明、在留証明が必要となり手続きの難易度が上がります。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 被相続人の住民票(除票)の写し
- 相続人全員の戸籍謄本(抄本)
- 相続人全員の印鑑登録証明書
- 不動産を取得する相続人の住民票
- 遺産分割協議書
- 不動産の納税通知書(評価証明書)
公衆用道路(私道)の登記
上記の位置指定道路などの私道で地目が公衆用道路になっている場合、固定資産税が非課税となっていますが登記時の登録免許税は非課税ではありません。このようなケースでは近傍宅地を元に登録免許税を算出します。
一般的に近傍宅地は市区町村役場の発行する評価証明書の備考欄に書いてもらうことが出来ますが、地域によっては法務局照会のケースもありますので、まずは電話で確認した方がいいでしょう!
確認後、近傍宅地1㎡の金額に公衆用道路の面積を掛け、さらに100分の30(地域によって異なる)を掛け金額を算出します。初めて手続きをする場合は難易度が高いと思いますので専門家へ依頼した方がいいでしょう!必要書類が集まり、登録免許税の額を算出したら登記申請書を作成します。
登記申請書
登記申請書
登記の目的 ●●持分全部移転
原 因 平成 年 月 日 相続
相 続 人 (被相続人 ●●)東京都神奈川区1-1-1 持分6分の1 ●●
添付書類
登記原因証明情報 住所証明情報 代理権限証明情報
平成 年 月 日申請 ●●地方法務局
代理人 埼玉県群馬区1-1-1 山田太郎 印 電話:090-0000-0000
課税価格 移転した持分の価格 金 円
登録免許税 金 円
不動産の表示
不動産番号 ○○○○○○○○
所 在 ○○○○○○○○
地 番 ○○番○○
地 目 宅地
地 積 ○○.○○㎡
(被相続人 ○○○○の持分 ○○分の○○)
上記は代理人に申請を依頼した場合の申請書の見本です。代理人に依頼せず、相続人が申請する場合、代理人の表示を削除してください。以上で、登記申請に必要な書類の作成が終わりましたので戸籍謄本を参考に相続関係説明図を作成し登記申請をします。
相続と空き家売却まとめ
被相続人名義になっている空き家を売却する場合「相続手続きを行った後、空き家の売却をするパターン」と「空き家売却と相続手続きを同時進行させるパターン」があります。
相続関係が簡単で特に争いがいない場合は「空き家売却と相続手続きを同時進行させる」方が司法書士報酬を安くすることができるのでオススメです。
空き家売却に強い業者では、社内に相続手続きに長けている士業(税理士、弁護士、司法書士、行政書士)が在中していたり、提携している専門家が沢山います。そのため、一括査定を利用し不動産会社へ相談すればワンストップで相続手続きから空き家の売却までサポートしてくれます!